図は、私が手に入れた海からのマイクロプラスチックとその主成分をFT-IRで測定した結果である。
2019年12月05日に放送された関西のニュースの中で、「“マイクロプラスチック”の原因物資は、ストローやポリ袋だけではない。“人工芝”や“肥料”も発生源になっている。」ということが言われていた。この報道は、2019年10月から始まった琵琶湖のマイクロプラスチック調査結果の一部を報道したものであった。
1年ほど前から私もマイクロプラスチックの発生源について同様のことを聞いていたが、その詳細結果を公に目にしたことはなかった。これから、このような報道も多くなり、人々の意識も変わってくるのではないかと期待している。しかし、かなり前からマイクロプラスチックは問題視されているにもかかわらず、その調査や対策の進行は遅い。対策は、早ければ早いにこした事はない。
マイクロプラスチックの原因究明にも分析の力が大きく関与している。
マイクロプラスチックを採取し、色や大きさなどで分類し、観察する。その後、成分分析を行っていく。成分分析では、主成分分析だけでなく、微量成分分析を行うことで発生源も明確になっていく。
たとえば、図の主成分分析だけでも、右側の波形が違うことから、それぞれが違った成分を含んでいることがわかる。さらに元素分析を行い、微量成分を分離して成分同定を行う分析をする。それによって、主成分Aだけでなく、B、C、Dというような微量成分が含まれていることがわかり、成分の組み合わせから、発生源の可能性が絞られる。さらに、採取された場所や水の流れ、マイクロプラスチックの色や残存している形などから発生源を絞っていくのである。
非常に時間も根気もいる作業であるが、少しずつでも進めていって発生源を特定し、その対策を考える事で環境改善をしていくしかない。
参照:報道に関する記事 https://www.mbs.jp/mint/news/2019/12/06/073717.shtml